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原発性アルドステロン症:亜鉛輸送体ZnT1を変化させるSLC30A1体細胞変異は、アルドステロン産生腺腫および原発性アルドステロン症の原因となる

Nature Genetics 55, 10 doi: 10.1038/s41588-023-01498-5

原発性アルドステロン症(PA)は、最も頻度の高い内分泌性高血圧疾患であり、レニン非依存的な機構による不適切なアルドステロン過剰産生を特徴とする。アルドステロン産生腺腫(APA)の約90%で、アルドステロン過剰に関する体細胞性のドライバー変異が見つかっている。片側性副腎性PAには他の原因として、アルドステロン産生結節(APN)がある。今回我々は、次世代シークエンスを行い、SLC30A1に頻発するインフレーム欠失を、4例のAPAと1例のAPNで見つけた(p.L51_A57del、n = 3。p.L49_L55del、n = 2)。SLC30A1は普遍的な亜鉛排出輸送体ZnT1をコードしている。今回見つかったSLC30A1のバリアントは、膜貫通ドメインII内の亜鉛結合部位(His43とAsp47)の近傍に位置しており、おそらく異常なイオン輸送を引き起こすと考えられる。SLC30A1変異を伴うPAの症例は男性で優位で、アルドステロン濃度と18オキソコルチゾール濃度の上昇が認められた。ドキシサイクリン誘導性副腎細胞システムにおけるSLC30A151_57delバリアントの機能解析では、病的なNa+流入が明らかになった。異常なNa+電流により静止膜電位の脱分極が引き起こされ、電位依存性カルシウム(Ca2+)チャネルの開口が起こる。その結果、細胞質でのCa2+活性が上昇することで、CYP11B2 mRNAの発現とアルドステロンの産生が促進される。まとめると、これらのデータは、亜鉛輸送体の変化が、PAにおけるアルドステロン過剰の主要なドライバーであることを示している。

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