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非アルコール性脂肪肝疾患:ゲノムワイド関連メタ解析で見つかった非アルコール性脂肪肝疾患に関連する17の座位

Nature Genetics 55, 10 doi: 10.1038/s41588-023-01497-6

非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)はありふれた疾患であり、遺伝要因の関与はある程度あることが知られているが、効果的な治療法は見つかっていない。今回我々は多様な祖先系集団の被験者において、NAFLDの画像化(n=6万6814)および診断コード(3584症例と62万1081の対照例)による評価のゲノムワイド関連解析(GWAS)メタ解析を行った。その結果、NAFLD関連バリアントがTOR1B(torsin family 1 member B)、FTO(fat mass and obesity associated)、COBLL1(cordon-bleu WH2 repeat protein like1)/GRB14(growth factor receptor-bound protein 14)、INSR(インスリン受容体)、SREBF1(sterol regulatory element-binding transcription factor 1)、PNPLA2(patatin-like phospholipase domain-containing protein 2)で見つかった。また、検証済みのNAFLD関連バリアントがPNPLA3(patatin-like phospholipase domain-containing protein 3)、TM6SF2(transmembrane 6 superfamily 2)、APOE(アポリポタンパク質E)、GCKR(グルコキナーゼ調節タンパク質)、TRIB1(tribbles homolog 1)、GPAM(グリセロール-3-リン酸アシルトランンスフェラーゼ)、MARC1(mitochondrial amidoxime-reducing component 1)、MTTP(microsomal triglyceride transfer protein large subunit)、ADH1B(アルコールデヒドロゲナーゼ1B)、TMC4(transmembrane channel like 4)/MBOAT7(membrane-bound O-acyltransferase domain containing 7)、PTPRD(受容体型チロシンプロテインホスファターゼδ)で見つかった。関与する遺伝子から、NAFLDの病因の素因としてミトコンドリア、コレステロール、de novo脂質合成が浮き彫りになった。フェノームワイド関連解析(PheWAS)では、NAFLDには少なくとも7つのサブタイプがあることが示唆された。遺伝的リスク(多遺伝子リスクスコア)が上位10%および1%に入る人は、NAFLD、肝硬変、肝細胞がんのリスクが2.5倍から6倍上昇する。これらに関与する遺伝的バリアントは、NAFLDのサブタイプを識別し、疾患リスクの推定を改善し、標的療法開発する際の指針となり得る。

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