Article

白血病:小児急性リンパ芽球性白血病のゲノム全体像

Nature Genetics 54, 9 doi: 10.1038/s41588-022-01159-z

急性リンパ芽球性白血病(ALL)は最もよく見られる小児がんである。今回我々は、2,754人のALL小児患者で全ゲノム、エキソーム、トランスクリプトームの塩基配列解読を行い、ALL症例では一般的に変異量が低いにもかかわらず、体細胞性ドライバー変化の推定数の中央値は試料あたり4であること、また、明らかになった376の推定ドライバー遺伝子はALLサブタイプ間で保有率が異なることを発見した。ほとんどの試料には、少なくとも1つのまれな遺伝子変化が見られ、その中にはユビキチン化やSUMO化、非コード転写産物などの機能に関連する70の推定がんドライバー遺伝子が含まれていた。高二倍体B-ALLでは染色体の増加が、紫外線誘発変異が起こるより前の早期の段階に起こり、また、すべての増加が同時に起こっていた。第21番染色体の染色体内増幅を伴うB-ALL症例では逆に、紫外線誘発変異が染色体増加に先行していた。我々はまた、サブタイプ内の遺伝的変化が予後を予測する上で意義があることも示す。興味深いことに、DUX4再編成サブタイプとKMT2A再編成サブタイプは、CEBPA/FLT3またはNFATC4を発現するサブグループに分けられ、これは臨床的に意義がある可能性がある。まとめると、これらの結果により、ALLのゲノム全体像とそれに関連する転帰についての理解が深まった。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度