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クローン病:大規模な塩基配列決定によりクローン病の感受性に関連する多数の遺伝子とまれなバリアントが明らかになる

Nature Genetics 54, 9 doi: 10.1038/s41588-022-01156-2

ゲノムワイド関連解析(GWAS)により、クローン病(CD)に関連する数百の座位が明らかになっている。しかし、全ての複雑疾患と同様に、通常、GWASによって発見される非コード領域のバリアントの調節異常の対象となる遺伝子を確実に特定することは困難である。本論文では、GWASを補い、アクショナブルな生物学的標的の判断をよりよく行えるようにするために、3万人以上のCD患者と8万人の集団を対照群として塩基配列データを解析した。その結果、コード領域のバリアントとの関連を介して、我々が知る限り初めて、通常発症型CDに関与する10の遺伝子を直接的に明らかにした。そのうちの4つの遺伝子は確立されたCD GWAS座位内にあることも分かった。CD症例において、9例では単一のコードバリアントが有意に関連しており、また10例目のATG4Cでは、複数の非常にまれなコードバリアントを合わせると有意にリスクが高まることが分かった。今回の研究は、CDの病因において自然免疫細胞や適応免疫細胞に加えてオートファジーが中心的役割を担うことを改めて示しただけでなく、新規の関連遺伝子の発見によって、腸の炎症の発生と維持に間葉系細胞が役割を担っていることを発見した。

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