Analysis

家畜遺伝学:ウシにおける調節バリアントの組織別アトラス

Nature Genetics 54, 9 doi: 10.1038/s41588-022-01153-5

家畜の遺伝子発現に作用する遺伝的調節バリアントの特性解析は、経済的価値のある形質の根底にある分子機構の解明や、人為的選択による遺伝的改良の速度を上げる上で不可欠である。今回我々は、家畜動物GTEx(Genotype–Tissue Expression;FarmGTEx)プロジェクトのパイロットプロジェクトとして、ウシのGTEx(CattleGTEx)アトラスを構築し、研究コミュニティーに提供する。このアトラスは、公開されている7180例のRNA塩基配列決定(RNA-seq)サンプルに基づいて作成された。100以上の組織や細胞タイプの転写状況を示すとともに、遺伝子発現や選択的スプライシングに関する何十万もの遺伝的関連を23の組織別に報告する。また、これらの遺伝的調節作用について、組織間で共通するパターンを評価し、マルチオミクスデータを用いてそれらの機能アノテーションを行った。また我々は、ウシの農業経済学的形質などの根底にある分子調節機構を解き明かすために、トランスクリプトーム規模関連解析と共局在解析を行って、組織別の遺伝子発現データを経済的に重要な43の形質と結び付けた。

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