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心臓再生:ゼブラフィッシュの心臓再生における活性化繊維芽細胞の起源と機能

Nature Genetics 54, 8 doi: 10.1038/s41588-022-01129-5

成体ゼブラフィッシュの心臓は、損傷後に高い再生能力を示す。しかし、再生ニッチの構成はほとんど解明されていない。本研究は、ゼブラフィッシュの心臓再生において認められる活性化細胞の多様性を、一細胞トランスクリプトミクスおよび時空間的な解析に基づいて明らかにした。繊維芽細胞の特徴を伴う一時的な細胞状態が損傷後に出現することを観察し、XII型コラーゲンを発現する繊維芽細胞の持つ再生促進的な機能の概略を示した。心臓を再生に導くカスケードを理解するために、これらの細胞状態の起源をハイスループットな細胞系譜追跡により決定した。活性化繊維芽細胞は、別々の2つの部位、心外膜と心内膜に由来することを見いだした。機序としては、心内膜繊維芽細胞の反応を制御する因子としてWntシグナル伝達を同定した。要約すると本研究は、心臓再生に寄与する活性化繊維芽細胞に特異的な状態を同定し、よって、脊椎動物の心臓再生能力を調節する可能性を開いた。

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