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白血病:慢性リンパ性白血病の全ゲノム塩基配列決定により、生物学的特徴と臨床的特徴が異なるサブグループが見つかる

Nature Genetics 54, 11 doi: 10.1038/s41588-022-01211-y

がん患者の臨床転帰を予測するために、標的ドライバー解析に対して、ゲノムワイド解析の価値が議論になっている。本論文では、英国の10万ゲノムプロジェクトの一環で行われている臨床試験に登録された慢性リンパ性白血病患者485人の全ゲノム塩基配列決定について報告する。これは、今後の研究のための情報資源になるべく、コード領域と非コード領域に頻発する遺伝的変異のカタログを拡大したものであり、構造バリアントやコピー数の変化に加え、テロメアの長さ、変異シグネチャー、ゲノムの複雑さなどのゲノムの大域的特徴についての最も完全な高分解能マップである。これらの特徴と臨床転帰との関係を明らかにするとともに、186種類の頻発するゲノム変化を統合することで、治療への反応に関連する5つのゲノムサブグループを定義し、従来の転帰予測を改良した。今後の独立した検証が必要ではあるが、慢性リンパ性白血病のリスク層別化を成功させるために必要な情報を得るうえで、全ゲノム塩基配列決定が有用である可能性を我々の知見は示している。

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