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エピジェネティクス:DNA塩基配列とクロマチン修飾因子は協働してインプリンティング制御領域でのエピジェネティックな双安定性をもたらす

Nature Genetics 54, 11 doi: 10.1038/s41588-022-01210-z

ゲノムインプリンティングは、インプリンティング制御領域(ICR)の親特異的なDNAメチル化により調節されている。同一のDNA塩基配列であっても、ICRは異なる2つのエピジェネティック状態をとることができ、この状態は細胞分裂が何度起きても記憶されているが、生殖細胞系列の形成中にリセットされる。今回我々は、このエピジェネティックな双安定性の遺伝的およびエピジェネティックな決定要因を体系的に研究した。我々は、ICRと関連DNA塩基配列を、マウスゲノム中に異所的に多数挿入することにより、胚性幹細胞でのエピジェネティック状態の維持に必要とされるDNA塩基配列の特徴を初めて明らかにした。さらに、ICRは自律的な調節特性を持つため、DNAメチル化に感受性のレポーターを作製することができ、我々はこれを用いてエピジェネティック記憶の調節に関わる主要構成因子のスクリーニングを行った。DNMT1、UHRF1、ZFP57以外にも、メチル化から非メチル化状態への転換を妨げる因子が見つかり、これらの候補のうちの2つ(ATF7IPとZMYM2)は、胚性幹細胞のICRにおけるDNAとH3K9メチル化の安定性に重要であることが明らかになった。

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