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先天性高インスリン血症: HK1の1つの組織特異的調節配列を破壊する非コードバリアントが先天性高インスリン血症を引き起こす

Nature Genetics 54, 11 doi: 10.1038/s41588-022-01204-x

遺伝子発現は厳密に制御されており、多くの遺伝子では、そのタンパク質産物が正常な細胞機能を破壊する場合には、細胞特異的なサイレンシングが起こる。このサイレンシングは主に非コード配列によって制御されており、これらが破壊されるとヒトの疾患が引き起こされる可能性がある。本研究では、遺伝子領域に依存しないやり方で非コード領域のスクリーニングを行い、先天性高インスリン血症の新しい分子的原因を見いだした。つまり、ヘキソキナーゼ1遺伝子(HK1)のイントロン2の調節配列に含まれる42 bpの保存された領域に影響を及ぼす14のde novo非コードバリアントを明らかにした。HK1は、肝臓と膵臓ベータ細胞を除く、全ての組織で広く発現しているため、発現が見られない特定の組織では「不許容遺伝子(disallowed gene)と呼ばれている。我々はこれらのバリアントが、膵臓ベータ細胞でのHK1抑制の欠如をもたらし、インスリン分泌と先天性高インスリン血症を引き起こすことを明らかにした。また、これらのバリアントがある1つの調節領域内に存在し、細胞特異的なサイレンシングに重要であることを、公開されているリポジトリから利用可能なエピゲノムデータを用いて明らかにした。これにより、1つの不許可遺伝子の適切でない発現を引き起こす非コードバリアントによる疾患機構が明らかになったことは重要である。

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