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自閉症:自閉症に及ぼすありふれた遺伝的作用とまれな遺伝的作用は統計学的および機能的に染色体16pに収斂する

Nature Genetics 54, 11 doi: 10.1038/s41588-022-01203-y

遺伝的関連を機構にまで変換する標準的な枠組みでは、個々の関連を、その機構を通じて作用する近位の遺伝子に繰り返しマッピングすることを行う。対照的に本研究では、ゲノムの非常に大きな領域から生物学的知見を抽出する方法の可能性について示し、この戦略を利用して自閉症に及ぼす遺伝的影響を解析したので報告する。新しい統計学的手法を用いて、16番染色体の短腕(16p)の33 Mbが、多遺伝子性に作用する自閉症のありふれたバリアントを最も多く含んでいることを突き止めた。この領域には、自閉症に関連する16p11.2のコピー数バリアントも含まれているが、その機構は明確になっていない。RNA塩基配列決定データの解析から、多遺伝子性に作用する16p内のありふれたバリアントと16p11.2の欠失の両方が、16p全体での平均的な遺伝子発現の低下と関連していることが明らかになった。このまれな欠失と広範なありふれたバリアント群が転写に及ぼす効果は、個々の遺伝子レベルで相関しており、また、Hi-Cデータの解析から、この転写収斂を説明する可能性のあるクロマチン接触のパターンが明らかになった。これらの結果は、遺伝的関連データから生物学的知見を抽出する新しい手法を示すとともに、自閉症に及ぼすありふれたバリアントとまれなバリアントの遺伝的影響が16pに収斂することを示唆している。

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