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読み書きの障害:ディスレクシアに関連するゲノムワイドに有意な座位42か所を発見

Nature Genetics 54, 11 doi: 10.1038/s41588-022-01192-y

読み書きは生活上必須の能力だが、およそ10人に1人の子どもがディスレクシア(読み書きの障害)を抱えており、成人になっても継続することがある。ディスレクシアの家系研究によると、最大で70%の遺伝率が示唆されているが、説得力のある遺伝子マーカーはほとんど見つかっていない。本研究では、ディスレクシアと診断されたことを自己申告した成人5万1800人と対照108万7070人を対象にゲノムワイド関連解析を行い、ゲノムワイドに有意な独立した座位を42か所同定した。それらの座位は、認知能力・教育達成度に関連する遺伝子で15か所、ディスレクシアに特異的と考えられる新規遺伝子で27か所見つかった。また、中国系およびヨーロッパ系の独立したコホートにおいて、23か所の座位(新規座位は13)が確認された。ディスレクシアの遺伝的病因は男女間で同様であり、両手利きなど多くの形質との遺伝的共分散が認められたが、言語関連回路の神経解剖学的な計測値とでは認められなかった。ディスレクシアの多遺伝子スコアは、読字形質の分散の最大6%を説明し、将来的にはディスレクシアの早期発見と治療に貢献する可能性がある。

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