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白血病:慢性リンパ性白血病の分子地図と転帰への影響

Nature Genetics 54, 11 doi: 10.1038/s41588-022-01140-w

最近、がんの特性解析が進歩しており、それによって明らかになったのは、顕著な不均一性が一貫して見られることである。それゆえに、各悪性腫瘍の分子地図や臨床地図を統合することが進まずにいる。本論文では、慢性リンパ性白血病(CLL)を中心に研究を行った。CLLは、さまざまな自然歴を持つB細胞腫瘍で、従来、免疫グロブリン遺伝子の重鎖可変領域(IGHV)における体細胞変異の程度によって識別される2つのサブタイプに分類されている。「CLL地図」を構築するために、患者1148人のゲノム、トランスクリプトーム、エピゲノムのデータを統合した。CLLの202の遺伝的ドライバー候補(新規は109)を特定し、IGHVサブタイプの特徴付けを改良することで、明確なゲノム全体像と白血病の軌跡が明らかになった。新しい遺伝子発現サブタイプの発見により、この腫瘍はさらに細分類され、これらが独立した予後因子となることを証明した。臨床転帰は、遺伝的特徴、エピジェネティックな特徴、遺伝子発現の特徴の組み合わせと関連しており、我々の予後パラダイムをさらに前進させた。総合的にこの研究は、CLLの腫瘍形成と予後予測に関する新たな洞察を示すものである。

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