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染色体外DNA:ヒトのがんにおける染色体外DNAの進化ダイナミクス

Nature Genetics 54, 10 doi: 10.1038/s41588-022-01177-x

染色体外DNA(ecDNA)で起こるがん遺伝子の増幅は、高い腫瘍増殖性や薬剤耐性、生存期間の短縮を引き起こす一般的な事象である。現在、非染色体がん遺伝子の遺伝(ランダムな同祖性)が及ぼす影響については十分に理解されておらず、また、ecDNAが体細胞変異や選択に与える影響も不明である。本研究は、ランダムな分離の理論モデル、バイアスのない画像解析、生細胞イメージングを用いたタグ付加によるecDNA解析、CRISPR-Cを統合して行われた。その結果、ecDNAのランダムな遺伝が、広範囲にわたるecDNA腫瘍内コピー数不均一性と、代謝ストレスおよび標的治療への迅速な適応をもたらすことが示された。ecDNAが宿主細胞の生存あるいは増殖に利することや、一細胞周期以内に変化し得ることが観察された。また、ecDNAを含むがんの攻撃的な特徴は、ecDNAが継承されているかどうかによっておそらく予測可能である。以上の特性は、染色体に存在するがん遺伝子の増幅には不可能なやり方で、ecDNAがゲノムを迅速に適応させる能力によって可能になる。本研究の結果は、ecDNAの非染色体のランダムな遺伝パターンが、がん患者の予後不良にいかに寄与するかを示した。

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