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エンドウ豆:エンドウ豆の参照ゲノム配列とパンゲノムの改善により、ゲノムの特徴と進化的特性が明らかになる

Nature Genetics 54, 10 doi: 10.1038/s41588-022-01172-2

正確かつ完全な参照ゲノム配列やアノテーションは、機能ゲノミクスおよび作物育種における基本的な資源となる。本論文で我々は、エンドウ栽培品種ZW6について、従来のコンティグ長の243倍に当たる8.98 MbのN50を含む、連続性と複雑な繰り返し配列領域の品質において明らかに改善された新たなゲノムアセンブリとアノテーションを報告する。栽培種と野生種のエンドウ118品種のゲノム多様性の比較からは、マメ科エンドウ属Pisumの中でもP. abyssinicumは野生種P. fulvumとも栽培種P. sativumとも異なる別種であることが分かった。QTL(量的形質座位)解析を行ったところ、メンデルが研究対象としたエンドウの形質に関わる遺伝子のうち、既知の茎長遺伝子(Le/le)と種子形態遺伝子(R/r)に加え、さやの形に関わる遺伝子の候補がいくつか検出された。エンドウの116アクセッションよりなるパンゲノムを作成し機能的エンリッチメント解析を行ったところ、P. abyssinicumP. fulvumに固有の機能を持つ汎遺伝子が高頻度に見られることが分かり、これら汎遺伝子が今後のエンドウ品種改良において有用な資源となる可能性が示された。

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