Technical Report

一細胞解析/多遺伝子解析:多遺伝子エンリッチメントによって一細胞RNA-seqデータにおける個々の細胞の疾患関連を識別

Nature Genetics 54, 10 doi: 10.1038/s41588-022-01167-z

一細胞RNA塩基配列決定法(scRNA-seq)からは、疾患の病理や細胞起源に関して、他の方法では得られないような知見が得られる。今回我々は、scRNA-seqと多遺伝子疾患リスクを一細胞分解能で結び付ける手法である一細胞疾患関連スコア(scDRS)を紹介する。このスコアは、細胞タイプの注釈付けとは独立して得られる値である。scDRSは、ゲノムワイド関連解析(GWAS)によって示された疾患関連遺伝子に対して、それが過剰発現を示す細胞を識別する。我々は、31の組織や器官にわたる、74の疾患や形質および130万の一細胞遺伝子発現プロファイルにscDRSを適用した。細胞タイプレベルの結果は、既知の細胞タイプと疾患の関連を広く再現していた。個々の細胞レベルの結果は、既存の細胞タイプ標識法では捕捉されなかった疾患関連の細胞亜集団が識別し、これらには炎症性腸疾患に関連するT細胞亜集団(エフェクター様の状態の特徴をある程度持つ)や、統合失調症と関連するニューロン亜集団(空間的位置によってある程度特徴付けられる)、トリグリセリドレベルに関連する肝細胞亜集団(倍数性レベルの大きさによってある程度特徴付けられる)が含まれていた。細胞全般でscDRSスコアと発現が相関している遺伝子(GWAS疾患関連遺伝子との共発現を反映する)には、ゴールドスタンダードの創薬標的やメンデル遺伝性疾患遺伝子が非常に豊富に含まれていた。

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