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ライチ/レイシ:ヘテロ接合性の高いレイシゲノムを構成する2つの異なるハプロタイプにより、早生品種と晩生品種の栽培化が独立して起こったことが示唆される

Nature Genetics 54, 1 doi: 10.1038/s41588-021-00971-3

レイシ果実(ライチ)は独特の風味を持つ魅惑的な熱帯果実である。レイシの栽培品種 「Feizixiao(妃子笑)」のゲノムアセンブリーを行ったところ、15本の仮想染色体が構築され、総全長は約470 Mbであった。ヘテロ接合性が2.27%と高いことから、2組の完全なハプロタイプがアセンブリーできた。全体の42.4%に当たる1万3517個の対立遺伝子が、さまざまな組織で異なる発現をしていた。レイシの72アクセッションをリシークエンスして分析したところ、2つの独立した栽培化過程があったことが明らかになった。極早生品種の塩基配列は主に一方のハプロタイプに含まれており、雲南省の野生種集団から栽培化されたと推測された。他方、晩生品種の塩基配列はそのほとんどが別のハプロタイプに存在しており、極早生品種とは独立に海南省の野生種集団から栽培化されたものと推測された。早生品種は、極早生品種の個体と晩生品種の個体との交雑により広東省で生じた可能性が高い。また果肉の成熟についてのレイシ栽培品種間の違いは、2つのCONSTANS様遺伝子中の3.7 kbの領域の欠失の違いによって調節されているらしいことが判明した。これらレイシゲノムについての情報資源は、レイシの栽培化に関する自然史に新たな知見をもたらし、レイシおよび近縁作物の品種改良を加速させるだろう。

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