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腎機能:ヒト形質の遺伝的構造を腎臓の細胞タイプにマッピングすることで、疾患の機構や有望な治療法が明らかになる

Nature Genetics 53, 9 doi: 10.1038/s41588-021-00909-9

ゲノムワイド関連解析(GWAS)を機能の解釈に結び付けるのが難しいのは、遺伝的バリアントの影響が細胞タイプ依存的なためである。本論文では、マイクロダイセクション法で採取された659のヒト腎臓試料の発現量的形質座位(eQTL)について包括的なマップを作成し、細胞タイプの存在量と遺伝子型の間の相互作用をマッピングすることによって、細胞タイプeQTLを明らかにした。我々は、層別化された連鎖不平衡スコア回帰法(S-LDSC;stratified linkage disequilibrium score regression)を用いて遺伝率を分割することにより、GWASを単一細胞RNA塩基配列決定法や単一核ATAC-seq(assay for transposase-accessible chromatin with high-throughput sequencing)法によるデータと統合し、それによって、腎機能についての遺伝率が近位尿細管に、また血圧の病因についての遺伝率が内皮細胞と遠位尿細管区画に優先順位付けられた。共局在についてのベイズ解析からは、腎機能や高血圧に関する200以上の遺伝子が候補に選び出された。我々の研究は、一般的に使用される降圧剤や腎保護薬の機構に関連する遺伝的基盤を明らかにし、腎疾患に対するドラッグリポジショニングの機会を示すものである。

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