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転写制御:オーファンCpG島は待機状態のエンハンサーの調節活性を増幅し、標的遺伝子の応答性を決定する

Nature Genetics 53, 7 doi: 10.1038/s41588-021-00888-x

CpG島(CGI)は脊椎動物ゲノムに広く見られる特徴であり、全ての遺伝子プロモーターの約70%と関連がある。CGIは、近接するプロモーターに独特のクロマチン特性を与えることで転写開始を制御する。これらのCGIの他に、機能的な関連がほとんど知られていない、数千の遠位CGI、つまりオーファンCGI(oCGI)が存在している。本論文では、oCGIが、待機状態のエンハンサーに不可欠な構成要素であり、長距離の調節活性を増強し、標的遺伝子の応答性を制御することを示す。我々は、マウス胚性幹細胞におけるノックイン戦略を用いて、いろいろなタイプのプロモーターを持つ遺伝子において、トポロジカルドメイン内にoCGIを有する、あるいはoCGIを有しない待機状態のエンハンサーを導入した。得られた細胞株の解析から、oCGIは、待機状態のエンハンサーと、遠位に位置する遺伝子、特にプロモーターに大きなCGIクラスターを持つ遺伝子との間をつなぎ、物理的および機能的なコミュニケーションを促進する配列として機能することが明らかになった。従ってCGIは、遺伝子とエンハンサーの適合性の遺伝的決定因子として機能することで、生理的条件下においても、また病的になり得る条件下においても、遺伝子発現制御に関与する可能性がある。

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