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糖尿病:ファインマッピングと民族横断的なゲノム解析による1型糖尿病の原因バリアント、関連する細胞、遺伝子、薬物標的の特定

Nature Genetics 53, 7 doi: 10.1038/s41588-021-00880-5

今回我々は、1型糖尿病(T1D)に関する過去最大規模(参加者6万1427人)かつ最も多様性の高い遺伝学的研究を実施した。その結果、ゲノムワイドで有意(P < 5 × 10−8)な78のT1D関連領域が特定され、うち36は新規であった。我々は、信頼度の高いT1D関連バリアントのセットを決定し、それらが免疫細胞、特にCD4陽性エフェクターT細胞における接近可能なクロマチン領域に豊富であることを明らかにした。我々は、115人の参加者のCD4陽性T細胞を用いてクロマチンへの接近しやすさのプロファイリングを行い、クロマチンへの接近しやすさに関する量的形質座位をマッピングし、T1Dのリスクバリアントが量的形質座位と共局在している5つの領域を特定した。我々は、T細胞においてエンハンサーへの接近しやすさを低下させ、BACH2の発現低下をもたらすT1Dの原因バリアント候補として、BACH2に位置するrs72928038を詳しく調べた。さらに我々は、遺伝学的な知見、機能ゲノミクスのマップ、免疫タンパク質のタンパク質–タンパク質相互作用を統合して薬物標的候補の順位付けを行い、自己免疫疾患の臨床試験で薬物標的とされたことがある、T1Dに関連する12の遺伝子を特定した。これらの知見は、T1Dのゲノミクス的理解の幅を拡大するものである。

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