Technical Report

遺伝型判型:参照パネルを用いた塩基配列からの迅速な遺伝型インピュテーション

Nature Genetics 53, 7 doi: 10.1038/s41588-021-00877-0

安価な遺伝型判定(genotyping)の手法は最近のゲノミクスに必要不可欠である。今回我々は、低カバー率の全ゲノム塩基配列データを用いて、2倍体の遺伝型インピュテーションを行うQUILTについて紹介する。QUILTは、ギブスサンプリングを用いてリードを母方セットと父方セットに分割し、大規模な参照パネルを用いた迅速な一倍体インピュテーションを可能にする。我々は、この分割が何メガベースにもわたって正確に行われ、理論上の限界に近い高精度のインピュテーションを可能にし、既存の手法を凌駕していることを示す。また、QUILTはOxford Nanopore Technologiesのロングリードや、ハプロタギングと呼ばれる新しい形の低コストのバーコード付きIlluminaシーケンシングといったさまざまな技術を用いて正確にインピュテーションを行うことができ、後者では低カバー率での精度の向上が見られた。QUILTは、DNA遺伝型判定マイクロアレイと比較して、コストを削減して正確さを向上させており、特に現代のゲノミクス解析ではこれまであまり利用を考慮されてこなかった多様な集団に対して、希少なSNPにおける精度が約2倍になっている。さらに、QUILTはヒト白血球抗原タイプについて正確に(4桁で)インピュテーションを行うことができ、低いカバー率の塩基配列決定データでこのようなことが行える初めての手法となる。

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