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渦鞭毛藻:渦鞭毛藻Symbiodinium microadriaticumの特殊な染色体の遺伝的および空間的構成

Nature Genetics 53, 5 doi: 10.1038/s41588-021-00841-y

渦鞭毛藻類は海洋における主要一次生産者であり、赤潮などの藻類ブルームの原因生物となる種や海洋性無脊椎動物の内部共生生物となる種などがある。渦鞭毛藻類については、その特殊な液晶性染色体を含め、生物学的に未解明な部分が多い。我々は、サンゴ共生藻であるSymbiodinium microadriaticumのゲノムについて、94の染色体スケールのスキャフォールドを構築し、その構成を解析した。その結果、S. microadriaticumでは、染色体の末端部に向かって遺伝子密度が高くなっており、一方向に転写される遺伝子ブロックとその逆方向に転写される遺伝子ブロックとが、交互に配置されていることが判明した。特定の生物学的過程に関わる遺伝子が多く存在している染色体も存在する。染色体は直線的なロッド状に折りたたまれており、各ロッドは一連の構造ドメインが境界部で隔てられた構造をとっている。構造ドメインの境界は2つの遺伝子ブロックの転写が一点に収束する部位に位置しており、転写を阻害する薬剤で細胞を処理すると構造の境界は見られなくなる。従って、遺伝子の向きおよびその転写と、染色体の折りたたみ構造との間には相関があると考えられる。本研究で明らかにしたS. microadriaticumゲノムの遺伝的・空間的構成は、渦鞭毛藻類の特異な生物学や染色体についてさらなる探求を行う際の基盤となるだろう。

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