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神経芽細胞腫:ヒト胚の単一細胞トランスクリプトミクスから神経芽細胞腫の起源に関与する可能性のある複数の交感神経芽細胞系譜が見つかる

Nature Genetics 53, 5 doi: 10.1038/s41588-021-00818-x

ヒトの胚形成過程において、細胞状態の進行の特徴を明らかにすることは、小児疾患の起源についての手掛かりになることがある。今回我々は、ヒト発生の受胎後6~14週の間に、神経堤および中胚葉に由来する細胞系譜が、副腎、腎臓、内皮、造血組織に分化する際の転写状態を調べた。我々の結果は、中間中胚葉から、器官原基の前駆細胞、造血系、内皮サブタイプへと進む移行過程を明らかにした。意外にも、単一細胞トランスクリプトミクスと細胞系譜追跡を組み合わせて用いることで、次のようなことが見いだされた。すなわち、副腎内の段階での交感神経芽細胞は、局所のクロム親和性細胞と同様に、神経関連シュワン細胞前駆細胞に直接由来するが、副腎外の交感神経芽細胞の大部分は、移動性の神経堤から生じるのである。ヒトでは、この過程は、発生の数週間の間に大きな副腎内神経節様構造内で進行し続けており、これは、神経芽細胞腫の起源細胞のリザーバーとしても機能する可能性がある。

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