Article

神経芽細胞腫:単一細胞トランスクリプトーム解析から得られた神経芽細胞腫の発生学的起源に関する手掛かり

Nature Genetics 53, 5 doi: 10.1038/s41588-021-00806-1

神経芽細胞腫は発達中の交感神経系に生じる小児腫瘍である。しかし、神経芽細胞腫の起源となる細胞はまだ明らかにされていない。今回我々は、神経芽細胞腫に加えて、胚発生と胎児発生のさまざまな段階にある発達中の正常ヒト副腎に対して、単一細胞トランスクリプトーム解析を行った。その結果、シュワン細胞前駆細胞から中間段階を経て、神経芽細胞またはクロム親和性細胞へと向かう正常な分化過程の軌跡が明らかになり、神経芽細胞腫の転写は、正常な胎児副腎神経芽細胞に類似していることが分かった。重要なことに、さまざまな臨床表現型を持つ神経芽細胞腫はそれぞれ、正常な神経芽細胞分化の軌跡に沿った一段階に一致し、分化の程度は臨床予後に対応していた。我々の研究は、発がん性MYCNとTFAP2B喪失が分化阻害に果たしている役割を明らかにし、分化阻害の克服に向けた治療介入を設計するための基盤となり得る。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度