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エンハンサー:超保存されたエンハンサーの機能には完全な塩基配列保存は必要でない

Nature Genetics 53, 4 doi: 10.1038/s41588-021-00812-3

超保存されたエンハンサーの塩基配列は、ヒトと齧歯類のゲノム間で完全に保存されていることから、その機能は、変異に対する感受性が非常に高いと示唆される。しかし、エンハンサー機能についての現在のモデルでは、この極度の進化的制約に対する説明が十分ではない。今回我々は、23の超保存されたエンハンサーに、異なるレベルの変異誘発を行い、合計で1547の変異を生じさせ、これらの活性をトランスジェニックマウスのレポーターアッセイにおいて調べた。全体として、超保存されたエンハンサーの調節特性は、変異に対してロバストであることが分かった。変異誘発時でも、ほぼ全て(19/23、83%)が1つの発生段階でエンハンサーとして機能し、その大部分(5/9、56%)は発生の後期段階で調べた場合も機能した。マウスにおいて、内因性エンハンサーを変異のある対立遺伝子に置換すると、超保存されたエンハンサーの変異に対する機能的回復力を含む、トランスジェニックアッセイでの結果が裏付けられた。我々の知見から、超保存されたエンハンサーの現在知られている活性には、進化において観察される完全な塩基配列保存が必ずしも必要でないことが示され、塩基配列に対するこの進化的制約には別個の調節機能やその他の役割が関与していることが示唆される。

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