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エピジェネティクス:哺乳類のSWI/SNFはクロマチンに対する局所的な接近可能性を継続的に回復させる

Nature Genetics 53, 3 doi: 10.1038/s41588-020-00768-w

クロマチンの接近可能性は、調節領域に見られる重要な特徴であり、転写因子(TF)の結合を伴い、ヌクレオソームの再構成を必要とする。しかし、この過程がどのくらい動的であるのかは分かっていない。今回我々は、低分子を用いてマウスSWI/SNFリモデリング複合体の触媒サブユニットの阻害を行い、TF結合部位での接近可能性とヌクレオソーム存在量低下が、ヌクレオソームリモデリング因子の持続的な活性に依存していることを明らかにした。リモデリング因子を阻害すると、数分以内に接近可能性とTF結合が低下する。TFの機能には関係ないが、活性型TF OCT4(POU5F1)は抑制性TFであるRESTよりも速い応答を示す。接近可能性、ヌクレオソーム減少、遺伝子発現は、阻害剤を除去すると速やかに回復することから、接近可能なクロマチンは、継続的に、主に細胞自律的な様式で再生されていることが示唆された。以上のことから、TFのクロマチンへの結合や、リモデリング因子を介したヌクレオソームの除去は、安定した状態を示してはおらず、接近可能なクロマチンは、継続的に再生されている動的過程の平均的状態を反映していると考えられる。

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