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精神疾患:Million Veteran Programにおける心的外傷後ストレス障害とその下位症状項目のゲノムワイド関連解析

Nature Genetics 53, 2 doi: 10.1038/s41588-020-00767-x

我々は、Million Veteran Programにおけるヨーロッパ系集団(EUR)とアフリカ系集団(AFR)の25万人以上の参加者を対象に、電子カルテで確認された心的外傷後ストレス障害(PTSD)の診断と量的な症状表現型を用いて、ゲノムワイド関連解析を実施した。我々はゲノム規模の多重検定補正を適用し、ヨーロッパ系集団の症例・対照解析では3つの有意な座位を、量的症状解析では15の座位を特定した。ゲノム構造方程式モデリングからは、内在化因子(不安障害・気分障害・神経症性障害)と遺伝的分散を共有する一貫性のあるPTSD症状因子が示された。また、分配された遺伝率は、いくつかの皮質領域と皮質下領域に濃縮が認められ、これらの領域特異的に遺伝的制御が行われている遺伝子発現を推定することで、ドラッグリポジショニングの対象候補となり得る薬物を明らかにした。本研究の結果は、PTSD症候群の生物学的な一貫性を確認するとともに、併存する不安障害やうつ病性障害との関連に関する情報をもたらし、治療法を巡る新たな検討課題を提起するものである。

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