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心疾患:肥大型および拡張型の心筋症のリスクに関与する共通の遺伝的経路が逆方向の効果を及ぼす

Nature Genetics 53, 2 doi: 10.1038/s41588-020-00762-2

心筋疾患である肥大型心筋症(HCM)と拡張型心筋症(DCM)は、それ以外の点では健康な若年者の突然死や心不全の主要な原因である。本論文では、HCM(1733例)、DCM(5521例)、9つの左心室(LV)の形質(心臓に構造的な異常を認めない1万9260例の英国バイオバンク参加者)においてゲノムワイド関連解析と多形質解析を行い、HCM形質と関連する16の座位、DCM形質と関連する13の座位、LV形質と関連する23の座位を特定した。LV形質と心筋症の間には強力な遺伝的相関があり、HCMとDCMでは逆方向の作用を示した。さらに、二標本メンデル無作為化解析により、LV収縮力の上昇がHCMリスクを増やす因果関係が示唆された。多遺伝子リスクスコアは、HCMを引き起こすレアバリアントの保因者において表現型のばらつきのかなりの部分を説明する。このため今回の知見は、多遺伝子リスクスコアが単一遺伝子疾患のばらつきを説明し得る証拠となる。さらに広い見方をするならば、本研究結果は、同一の遺伝的経路が異なる疾患において全く逆方向の作用を示す仕組みの手掛かりを示している。

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