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筋萎縮性側索硬化症:筋萎縮性側索硬化症における一般的および希少なバリアントの関連解析から、異なる遺伝的構造やニューロン特異的な生物学的性質を示す15のリスク座位が明らかになる

Nature Genetics 53, 12 doi: 10.1038/s41588-021-00973-1

筋萎縮性側索硬化症(ALS)は致死的な神経変性疾患で、350人に1人の生涯リスクがあるが、疾患修飾療法のクリニカルニーズはいまだ満たされていない。本論文では、2万9612人のALS患者と12万2656人の対照者を対象に、祖先系集団横断的なゲノムワイド関連解析(GWAS)を行い、15のリスク座位を見いだした。これらのデータを、8953人(6538人の患者および2415人の対照者)についての全ゲノム塩基配列決定データ、および皮質由来の発現量的形質座位(eQTL)の大規模データセット(MetaBrain)に組み合わせて解析した。すると、それらの座位において、希少なバリアント、短い縦列反復配列、あるいは調節効果のいずれかにより遺伝子の優先順位付けを行うことができ、座位特異的な遺伝的構造が明らかになった。ALS関連リスク座位は、神経変性スペクトラム内の複数の形質と共通であったが、脳領域や細胞タイプでは異なる濃縮パターンが見られた。メンデル無作為化解析からは、これまでに報告されている環境およびライフスタイルのリスク要因のうち、高コレステロール値が原因となる役割を持つことが示された。全てのALS関連シグナルを組み合わせると、小胞を介した輸送やオートファジーにおけるかく乱の役割が明らかになり、また、グルタミン酸作動性ニューロンにおける神経細胞自律的な疾患開始の証拠が示された。

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