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子宮内膜:in vivoおよびin vitroにおけるヒト子宮内膜の時間的および空間的な動態マッピング

Nature Genetics 53, 12 doi: 10.1038/s41588-021-00972-2

子宮の内側を覆う粘膜である子宮内膜は、卵巣ホルモンに応答して月経周期中に動的に変化する。我々は、ヒトの子宮や三次元培養子宮内膜オルガノイドについての高密度の単一細胞および空間的参照マップを作製した。本論文では、管腔および腺の微小環境において上皮細胞系譜の細胞運命を決定するシグナル伝達経路を調べた。我々の子宮内膜オルガノイドを基準に評価することで、分泌細胞系譜と繊毛細胞系譜の分化を調節する経路および細胞状態が、in vivoとin vitroの両方で明らかになった。in vitroにおいてWNT経路を減弱させると分泌細胞系譜に沿った分化効率が高まり、NOTCH経路を減弱させると繊毛細胞系譜に沿った分化効率が高まった。我々の細胞マップを用いて、子宮内膜がんや子宮内膜症病変の細胞集団としてのデータをデコンボリューションすると、これらの疾患それぞれで優勢な細胞タイプが明らかになった。これらの機構的な手掛かりから、子宮内膜症や子宮内膜がんといった頻度の高い疾患の治療法を今後開発していくためのプラットフォームが示された。

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