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エピジェネティクス:シス作用機構が哺乳類におけるポリコーム標的遺伝子の転写記憶を仲介する

Nature Genetics 53, 12 doi: 10.1038/s41588-021-00964-2

遺伝子発現状態がエピジェネティックに継承されることで、1つのゲノムによって異なる細胞アイデンティティーの維持が可能になる。しかし、ヒストン修飾がこの過程に関与する仕組みについては、まだ明らかにされていない。我々は、クロマチンの全体的なかく乱と、時間的に制御した局所的な転写調節を行うことによって、ポリコームグループによりサイレンシングされる遺伝子の転写活性にエピジェネティックな記憶が存在することを明らかにした。この特性は細胞分化の間に現れ、転写が一過的に刺激された後の遺伝子の安定的な切り替えを可能にする。ポリコーム標的部位でのこの転写記憶状態はシスに作用するが、この記憶はヒストン修飾の読み書きの伝播だけに依存するのではなく、ポリコームタンパク質群に拮抗して入力される転写活性化の強度とも関連しているため、細胞の状況によって多様である。我々のデータと計算シミュレーションは、転写記憶は、ポリコームを介したサイレンシングと活発な転写の間における二重の負のフィードバックによって生じるというモデルを示唆している。従って、ポリコーム標的部位での転写記憶は、ヒストン修飾だけでなく、遺伝子調節ネットワークやその細胞が持つアイデンティティーにも依存する。

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