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ゲノムの折りたたみ:BRD4はゲノムの折りたたみを調整して神経堤の分化を促進する

Nature Genetics 53, 10 doi: 10.1038/s41588-021-00934-8

クロマチンの高次構造は遺伝子発現を調節するので、ゲノムの折りたたみを仲介するタンパク質の変異は、コヒーシン病として知られる発達障害の基礎となる。しかし、ゲノムの三次元構造と胚発生の間の関係はよく分かっていない。本論文では、ゲノムの折りたたみにおけるBRD4(bromodomain-containing protein 4)の役割を明らかにし、これを利用して神経堤前駆細胞の分化におけるゲノムの折りたたみの重要性を解明する。神経堤においてBrd4を欠失させると、コヒーシン病様の表現型が引き起こされた。BRD4は、コヒーシンアゴニストであるNIPBLと相互作用し、また、BRD4を除去するかBRD4–NIPBLの相互作用を喪失させると、NIPBLの占有が低下することから、BRD4はクロマチン上でNIPBLを安定化すると考えられる。クロマチン相互作用のマッピングと画像化の実験から、BRD4の除去によってゲノムの折りたたみとループの突出が障害されることが実証された。さらに、NIPBLとの相互作用を仲介する、BRD4の個々のアミノ酸の変異によって、神経堤の平滑筋への分化が妨げられた。注目すべきことに、BRD4の喪失によって引き起こされる平滑筋への分化の低減は、コヒーシンアンタゴニストであるWAPLの喪失によって救済された。総合的に我々のデータから、BRD4がゲノムの折りたたみを統制することが明らかになり、前駆細胞分化においてコヒーシン活性のバランスを取ることに関係することが示された。

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