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サブゲノム:異質4倍体のコイとキンギョにおけるサブゲノム構造の平行的進化と発現の分岐的進化

Nature Genetics 53, 10 doi: 10.1038/s41588-021-00933-9

異質4倍体でいかに2つのサブゲノムの共存という適応が起き、構造と発現の進化を通じた協調に至るかを解明するには、広範な研究が必要である。本研究において我々は、異質4倍体コイのゲノムアセンブリーの改良、異質4倍体キンギョのゲノムアノテーションの更新、そして祖先に似た2倍体魚のスマトラ(Puntius tetrazona)と外群の2倍体魚Paracanthobrama guichenotiの染色体規模のアセンブリーについて報告する。異質4倍体におけるサブゲノム構造の平行的進化は、同等の染色体構成要素、高いタンパク質の同一性、類似のトランスポゾンの分散と量、同祖部位の交換、高いシンテニーレベル、塩基配列の強固な補償、対称的な純化選択などを特徴としていた。加えて我々は、異質4倍体におけるサブゲノムの発現の多様化過程について、サブゲノム間やサブゲノム内のトランススプライシング事象、発現優位性、発現レベルの低下、遺伝子量補償、より強い発現相関、ダイナミックな機能化、差時的発現のバランス化などを観察した。異質4倍体の中で異なる先祖により持ち込まれた病気や異常は、構造的な同質性を増加させ、柔軟性を増した発現過程を実行することで緩和されるとの仮説が立てられた。コイの一般的な3系統をリシーケンシングすることで、2つの主要なエコタイプが明らかになり、成長や生存率に関連する候補遺伝子が発見された。

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