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発現量的形質座位:プロモーターと相互作用する発現量的形質座位には機能的な遺伝子バリアントが豊富に存在する

Nature Genetics 53, 1 doi: 10.1038/s41588-020-00745-3

発現量的形質座位(eQTL)の研究から、遺伝子バリアントと遺伝子発現の関連が示されたが、機能的に重要なeQTLの位置を正確に示すには不十分である。今回我々は、H3K27ac HiChIPの手法を用いて、5つの一般的なタイプの免疫細胞において標的遺伝子のプロモーターと相互作用して活性化するシス調節配列と重なるeQTL(promoter-interacting eQTL;pieQTL)のマッピングを行った[DICE(免疫細胞における発現、発現量的形質座位、エピゲノミクスのデータベース)シスインタラクトームプロジェクト]。この手法により、機能的に重要なeQTLが特定され、それらが細胞タイプ限定的であることを説明する機構を示すことができた。また我々は、HiChIPを基盤とするプロモーター相互作用マップに依存したeQTL発見手法を考案した。このマップは、遺伝子発現との関連を検討するためのSNPを決定する上での構造的枠組みとして使用したものであり、その結果、いくつかの疾患リスクバリアントをはじめとする超長距離pieQTL(1メガ塩基以上離れている)が存在することが観察された。我々はレポーターアッセイ、CRISPRi、dCas9タイリングガイド、Cas9を介した塩基対編集を用いて、pieQTLの機能的役割を検証した。本稿では、機能的なeQTLを発見する方法を紹介し、また、非コードバリアントが、従来のeQTLマッピングを超えて、細胞特異的遺伝子調節と疾患関連性に関係していることについての手掛かりを示す。

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