Technical Report

レアバリアント:複数のin silico機能アノテーションを動的に組み込むことで、大規模な全ゲノム塩基配列決定研究のレアバリアント関連解析の検出力を向上させる

Nature Genetics 52, 9 doi: 10.1038/s41588-020-0676-4

大規模な全ゲノム塩基配列決定研究により、複雑な表現型に関連するレアバリアント(RV)の解析が可能となってきている。しかし、一般的に使用されているRV関連性検定手法は、バリアントの機能を検出する能力が限られている。今回我々は、動的な重み付け手法を用いてバリアントカテゴリーと複数補完的アノテーションの両者を効果的に組み込むことができる、スケーラブルで強力なRV関連性検定手法、STAAR(variant-set test for association using annotation information)を提案する。複数補完的アノテーションについては、in silicoのバリアントアノテーションの多次元サマリーである「アノテーション主成分」を導入している。STAARは母集団の構造と関係性(血縁・祖先関係)を考慮しており、非常に大規模なコホート研究やバイオバンクの全ゲノム塩基配列決定研究において、連続形質や二値形質の解析を行うためのスケーラビリティーを持っている。我々は、Trans-Omics for Precision Medicine Programから得た1万2316の発見サンプルと1万7822の再現サンプルにSTAARを適用することで、4つの脂質形質に関連を有するRVを特定した。また我々は、低密度リポタンパク質コレステロールとの関連を有するNPC1L1の破壊的ミスセンスRVやAPOC1P1近傍の遺伝子間領域のRVなど、脂質形質に関連を有する新規RVを発見し、再現解析にて検証を行った。

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