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ワタ:ワタ属Gossypiumの異質倍数性5種のゲノム多様性とワタの品種改良への影響

Nature Genetics 52, 5 doi: 10.1038/s41588-020-0614-5

倍数性は多くの動物種および全ての顕花植物にとっての進化的変革であるが、その自然選択と栽培化への影響はよく分かっていない。我々は、経済的に重要なリクチメンとピマワタ(カイトウメン)を含む5種の異質倍数体ワタ種の全てについて、ゲノム進化およびゲノム多様性の解析を行った。これらの倍数体ゲノムでは遺伝子含量やシンテニーは保存されているが、サブゲノムにおいてゲノムサイズを平衡させたトランスポゾン交換反応や進化速度の不均一、系統内あるいは系統間で生じたホメオログの正の選択によって多様化が起こった。これらの特異な進化の軌跡として、倍数体系統間における遺伝子ファミリーの多様化とホメオログ発現の多様性が認められる。選抜と栽培化により2種の栽培ワタの繊維細胞における並行遺伝子の発現に類似性が生じ、それには共発現ネットワークやN6-メチルアデノシンRNA修飾が関与している。さらに、倍数性により組換えが抑制され、それに相関してエピジェネティックな景観に変化が見られるが、この組換え抑制は野生種からの遺伝子移入により克服できる。これらのゲノムに関する洞察は、遺伝子組換えによる作物の品種改良や、品種改良を目指したエピジェネティックな全体像の修正や標的遺伝子の操作に役立つだろう。

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