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ダイズ:ダイズの栽培化過程における開花と成熟を制御するホメオロガスPRR遺伝子の段階的選択

Nature Genetics 52, 4 doi: 10.1038/s41588-020-0604-7

植物季節学における適応的変化は、しばしば、現代の栽培作物をその祖先である野生種とは違ったものにした、いわゆる「栽培化症候群」の特徴と捉えられるが、この考え方を支持する詳細な根拠はほとんど示されていない。主要なマメ科作物であるダイズにおいては、栽培種化された遺伝資源についての開花期の変異はよく特徴付けられており、現代の農業生産において非常に重要な意味を持つが、その栽培化過程における重要性は明らかになっていない。本論文で我々は、2個のホメオロガスなPRR(pseudo-response-regulator:疑似応答調節因子)遺伝子であるTof12Tof11に順次生じた事象が、古代の開花期適応に寄与したことを突き止め、これらの調節因子がLHYホモログを介してマメ科植物特異的なE1遺伝子の発現を促進することにより、長日条件下での開花遅延をもたらすことを示す。また、ダイズの栽培化過程でTof12依存的な成熟促進とともに休眠および種子散布の減少が起こり、それらにより、発端となった作物が緯度の異なる地域へと産地を拡大させやすくなった可能性があることを示す。作物進化の初期段階をよりよく理解することにより、栽培化の過程で失われた機能的多様性を見いだすことができ、作物の今後の品種改良への活用の可能性を広げることになるだろう。

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