Perspective

脳疾患:脳疾患の複雑な遺伝的構造のモデル化

Nature Genetics 52, 4 doi: 10.1038/s41588-020-0596-3

各個人の遺伝的構造は、一般的なバリアントとまれなバリアントから構成されていて、これらのバリアントが、単独および組み合わされて作用することで、疾患のリスクをもたらす。脳疾患に関連するリスクバリアントが、細胞種特異的・状況依存的に及ぼす機能的影響を解明することは必要とされている。ヒト誘導多能性幹細胞(hiPSC)を基盤とする技術とCRISPRによるゲノム操作を組み合わせることで、遺伝学的背景のそれぞれ異なっていたバリアントを、同一の遺伝学的背景の下で詳細に比較することが容易になる。通常、機能検証研究というものは、1つのバリアントのみを対象に、1回につき1つの細胞種で行われるのだが、複雑な遺伝性疾患では、複数の遺伝子を操作して、遺伝子を組み合わせて調べ、生理学的に関連する疾患生物学を明らかにしていく必要がある。我々の目的は、ゲノミクス、hiPSC、CRISPRが互いに交差し合う領域における進歩について議論することである。疾患のリスクの原因となる分子機構をより深く理解できれば、遺伝学的診断の改善や表現型創薬の推進がなされ、精密医療への道を切り開いていくことができるようになるだろう。

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