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肺腺がん:脳転移のゲノム解析によりヒト転移性肺腺がんのドライバー遺伝子を同定

Nature Genetics 52, 4 doi: 10.1038/s41588-020-0592-7

肺腺がんからの脳転移(BM-LUAD)は、しばしば患者の死亡原因となる。脳転移を促進するゲノム異常を同定するために、本研究では73例のBM-LUAD症例について全エキソーム塩基配列決定を行った。症例対照解析を行い、コピー数異常の頻度が原発性LUAD(503例)よりもBM-LUADで高くなる遺伝子を見つけることで、脳転移を促進するドライバー遺伝子の候補を特定した。その結果、BM-LUADで増幅頻度が有意に高い3つの領域、すなわちMYC(12%対6%)、YAP1(7%対0.8%)、MMP13(10%対0.6%)が同定された。また、CDKN2A/Bでは、欠失頻度が有意に高かった(27%対13%)。さらに、BM-LUAD患者105人の独立コホートにおいて、MYCYAP1MMP13の増幅頻度が上昇していることを確認した。加えて、患者由来異種移植片モデルマウスを用いた機能評価により、MYCYAP1MMP13の過剰発現が脳転移の発生率を増加させるという仮説を検証した。これらの結果は、体細胞遺伝子の変化が脳転移の発生に寄与していることを示しており、十分な数の転移性腫瘍のゲノム塩基配列決定により、これまで知られていなかった転移のドライバー遺伝子を明らかにできることを実証している。

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