Analysis

がんゲノム:ヒトのがんにおけるミトコンドリアゲノムの包括的な分子特性解析

Nature Genetics 52, 3 doi: 10.1038/s41588-019-0557-x

ミトコンドリアは、がんにおいて決定的な役割を果たす非常に重要な細胞小器官である。本研究では、国際がんゲノムコンソーシアム(ICGC:International Cancer Genome Consortium)およびがんゲノムアトラス(TCGA:The Cancer Genome Atlas)におけるがん種横断的全ゲノム解析(PCAWG;Pan-Cancer Analysis of Whole Genomes)コンソーシアムの一環として、38の腫瘍タイプにわたる2658例のがんの全ゲノム塩基配列データを集約し、ミトコンドリアゲノムならびに関連するRNA-seqデータの多次元統合解析を実施した。我々の解析により、ミトコンドリアゲノムに生じる変異の全体像が高い信頼性で明らかになった。また、変異の頻度が極めて高いサンプルがいくつか同定された。病的変異は腎臓がん、大腸がん、甲状腺がんに特に多く、発がんにかかわるシグナル伝達経路の活性化が示唆される。ミトコンドリアDNAの体細胞核ゲノムへの挿入が高い頻度で認められ、その一部は治療標的となる遺伝子を破壊していた。ミトコンドリアDNAのコピー数は、がん種内およびがん種間で大きく異なり、臨床変数との相関が認められた。共発現解析では、ミトコンドリア遺伝子が酸化的リン酸化、DNA修復、細胞周期において重要な役割を果たしていることが明らかとなり、また、治療標的となり得る遺伝子との共発現が認められた。本研究はミトコンドリア生物学を臨床応用につなげる上での基礎を築くものである。

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