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肺腺がん:東アジア人における肺腺がんゲノムの全体像

Nature Genetics 52, 2 doi: 10.1038/s41588-019-0569-6

肺がんは、世界的にがんによる死亡の主な原因であり、祖先系統による差異が強く見られる。東アジア系の人(EAS、n = 305)の肺腺がん(LUAD)ゲノムおよびトランスクリプトームの大規模なデータセットについて、塩基配列決定とそのアセンブリを行った。その結果、東アジア系の人のLUADは、ヨーロッパ系の人のLUADに比べて、変異やコピー数変化が少なく、より安定したゲノムであることが分かった。この差異は、非喫煙者よりも喫煙者ではるかに強く見られた。トランスクリプトームのクラスタリングから、ゲノムプロファイルの複雑性が低く、免疫関連遺伝子の発現上昇が見られるEAS特異的なLUADの新しいサブグループが特定され、このサブグループには免疫療法を基盤とする手法が有効である可能性ある。臨床的特徴と分子的特徴の統合解析により、患者の予後の層別化における分子表現型の重要性が明らかになった。EAS LUADの予測精度はヨーロッパ系の人のLUADより優れており、それは、おそらくゲノム構造がより単純だからであろうと考えられる。この研究は、EAS LUADの包括的なゲノムの全体像を解明し、また2つのコホート間の祖先系統による重要な差異を明らかにするものである。

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