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ヘモグロビンスイッチイング:LIN28BはBCL11Aの翻訳を抑制してヒトヘモグロビンスイッチングを制御する

Nature Genetics 52, 2 doi: 10.1038/s41588-019-0568-7

胎児ヘモグロビン(HbF)の産生を増加させることにより、鎌状赤血球症およびβサラセミアの症状を緩和できる。HbFをコードする遺伝子の発現はBCL11Aにより抑制される。このBCL11Aの発現の増減が、発生過程おけるがヒトのヘモグロビンスイッチングを制御している。しかし、発生段階でBCL11Aの発現量が増加する機序については分かっていなかった。ここでは、ヒト造血系の発生過程において、BCL11AがメッセンジャーRNA(mRNA)の翻訳レベルで調節されていることを示す。発生の初期段階ではBCL11Aタンパク質の合成は抑制されているが、BCL11A mRNAは常にリボソームに結合している。ゲノム解析とプロテオーム解析によるバイアスのない手法により、発生過程でBCL11Aとは相補的なパターンで発現するRNA結合タンパク質LIN28Bが、リボソームおよびBCL11A mRNAと相互作用していることが分かった。さらに、LIN28BがBCL11A mRNAの翻訳を抑制すること。そして、この抑制は、let-7マイクロRNAの調節を介したものではなく、直接相互作用によるものであることを明らかにした。従って、LIN28BによるHbF誘導の主要な標的分子はBCL11A mRNAである。本研究の結果は、これまで知られていなかったヒトのヘモグロビンスイッチングの機序を明らかにし、新しい治療法の開発に役立つ可能性がある。

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