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黒色腫:統合的解析で明らかになった分子ドライバーが黒色腫の生物学的および臨床的状態に関係する

Nature Genetics 52, 12 doi: 10.1038/s41588-020-00739-1

今回我々は、1048例の黒色腫に対して、分子レベルの解析と臨床レベルの解析を統合的に調和させて行った。その結果、各サブタイプ[BRAF(N)RASNF1、三重野生型(TWT)]の間で著しく異なる広範なゲノム特性や、二次ドライバー遺伝子に対するサブタイプ特異的な優先性、これまでに黒色腫で報告されていなかった活性型変異過程が見いだされた。二次ドライバー遺伝子は、BRAF型黒色腫でのトランスフォーミング増殖因子βシグナル伝達の誘導や、(N)RAS型黒色腫でのSWI/SNF複合体の不活性化などの付加的な経路の調節異常を優先的に起こしている特定のサブタイプで有意に増えており、免疫チェックポイント阻害に対する選択的応答を調整する共変異パターンを選択する。我々はまた、TWT黒色腫の変異の全体像を定義付け、このサブタイプにおけるDNA修復異常シグネチャーの増加を明らかにした。これらは主要なDNA修復遺伝子の転写量低下と関連しており、以前に棄却されたか現在考慮されていない治療法である、ゲノム層別化した黒色腫患者サブセットに対する治療法を復活させる可能性がある。幅広く一致させた黒色腫の全エキソームに対するメタ解析から、いろいろな分子ドライバーが明らかになり、これにより、生物学的研究および治療研究に対するさまざまな機会が示唆された。

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