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頭蓋内動脈瘤:頭蓋内動脈瘤のゲノムワイド関連解析による、臨床的リスク因子との遺伝学的重複を有する17のリスク座位の特定

Nature Genetics 52, 12 doi: 10.1038/s41588-020-00725-7

頭蓋内動脈瘤が破裂すると、重症脳卒中であるくも膜下出血が引き起こされる。今回我々は、頭蓋内動脈瘤の新規リスク座位を発見し、疾患の遺伝学的基盤を解明する目的で、ヨーロッパ系および東アジア系の症例1万754人と対照30万6882人を対象とした多民族ゲノムワイド関連解析を実施した。17のリスク座位が見いだされ、うち11は新規座位であった。その結果、頭蓋内動脈瘤が持つ多遺伝子性の遺伝的構造が明らかとなり、これにより同疾患の遺伝率の半分以上を説明することができた。我々は、破裂した動脈瘤と未破裂の動脈瘤との間には高い遺伝学的相関があることを示した。また、我々は遺伝子マッピングおよび遺伝率エンリッチメント解析を用いて、内皮細胞が重要な役割を果たしていると考えられることを明らかにした。薬物標的エンリッチメント解析では、頭蓋内動脈瘤と抗てんかん薬および性ホルモン薬との間に多面的関連があることが示され、頭蓋内動脈瘤の病態生理に関する洞察が得られた。2つの主要な臨床的リスク因子である喫煙と高血圧の遺伝的リスクは、頭蓋内動脈瘤のリスクにも重要な影響を与えており、頭蓋内動脈瘤とそれ以外の脳血管形質との間の遺伝的相関の大部分を占めていた。

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