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ジャガイモ:ヘテロ接合二倍体ジャガイモのハプロタイプレベル分解能のゲノム解析

Nature Genetics 52, 10 doi: 10.1038/s41588-020-0699-x

ジャガイモ(Solanum tuberosum L.)は世界的に最も重要な塊茎作物である。ジャガイモを栄養繁殖性の四倍体植物から、種子繁殖性の、近交系を基礎とする交配種に変換する取り組みが行われているが、そのためにはジャガイモゲノムをよりよく理解することが必要である。本論文で我々は、ハプロタイプレベルでアセンブリーされた二倍体ジャガイモRH89-039-16のゲノム1.67 Gbを報告する。このアセンブリーは、CCS(環状コンセンサスシークエンシング)法を含む複数のシークエンス戦略を組み合わせることで達成された。2つのハプロタイプ群を比較したところ、ゲノムの約2.1%に遺伝的多様性が認められ、アノテーションされた遺伝子1万642個の遺伝子内に2万2134個の有害と予想される変異が見つかった。2万583対の対立遺伝子のうち、対立遺伝子間の16.6%に発現状態の差異が、30.8%にメチル化状態の違いが見られた。有害な変異や対立遺伝子間で発現状態が異なる対立遺伝子は、両ハプロタイプ全体に分散しており、減数分裂時の組み換えを介して有害な対立遺伝子を取り除いたり、有益な対立遺伝子を集積させたりする戦略を難しいものにしていた。本研究は、栄養繁殖する二倍体植物の1つについて、ゲノム構造の全体像を示すとともに、複雑なゲノム解読における技術進化に知見を加えるものである。

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