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ウシ:アフリカの牧畜における独特な遺伝資源であるアフリカ在来牛のモザイクゲノム

Nature Genetics 52, 10 doi: 10.1038/s41588-020-0694-2

ウシの牧畜は、アフリカにおけるヒトの生活で中心的な役割を担っている。しかし、その成功の歴史についての遺伝的な解析は行われていない。本論文では、主要なウシ群を代表する16品種にわたる172頭のアフリカ在来牛について、全ゲノム塩基配列決定解析を行い、ウシのタウリン種 × インディシン種の主要な混合事象が起こったのが、およそ750~1050年前にさかのぼることを突き止めた。また、これが「アフリカの角(ソマリ地域)」における今日のウシゲノムを形作っていることを報告する。アフリカの環境への適応に関係する座位を全交雑種で調べた結果、16座位が特定され、これらの座位から、タウリン系統あるいはインディシン系統のどちらが過剰であるかが明らかになることが分かった。これらの座位には、免疫、耐熱性、生殖に関連する遺伝子が含まれている。さらに、我々はアフリカのタウリン種において、非常に分岐の多い座位を1つ特定した。この座位は、トリパノソーマ耐性と関連すると推定され、トリパノソーマ症が多発する地域に生息している交雑種に存在している。我々の知見は、元々存在したタウリン種と、その後にやってきたインディシン種の混合に由来する遺伝資源の多様な構成が、アフリカの牧畜の現在の成功の根底にあることを示している。

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