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前立腺がん:FOXA1のクロマチン結合は前立腺がんにおいてLSD1を介した脱メチル化によって促進される

Nature Genetics 52, 10 doi: 10.1038/s41588-020-0681-7

FOXA1はパイオニア転写因子として機能し、アンドロゲン受容体やエストロゲン受容体などのステロイドホルモン受容体がクロマチンへ接近することを促進するが、FOXA1のクロマチンへの結合を調節する機構についてはまだ不明である。LSD1(KDM1A)は、モノメチル化あるいはジメチル化されたヒストンH3リシン4(H3K4me1/2)を脱メチル化することで転写抑制因子として働くが、一方で、まだ解明されていない機構を介して、ステロイドホルモン受容体のコアクチベーターとしても働く。今回我々は、前立腺がん細胞において、LSD1はFOXA1および活性型エンハンサー標識と結合すること、また、LSD1を阻害するとFOXA1のクロマチン結合が広範囲に破壊されることを示す。機序としては、LSD1がFOXA1のDNA結合ドメインのwing2領域に隣接したリシン270を脱メチル化することにより、FOXA1の結合が正に調節されることが分かった。LSD1の阻害はFOXA1を介して作用し、アンドロゲン受容体の結合とその転写出力を広範囲で破壊し、また、単独およびin vivoアンドロゲン受容体アンタゴニスト治療との相乗効果で、前立腺がんの増殖を劇的に低下させた。今回明らかになった機序は、ステロイド誘導性のがんにおける新たな治療戦略を示唆している。

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