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コブラ:インドコブラの参照ゲノムとトランスクリプトーム解析は毒液に含まれる毒素の包括的な同定を可能にする

Nature Genetics 52, 1 doi: 10.1038/s41588-019-0559-8

毒ヘビによる咬傷は、熱帯圏の深刻かつ顧みられない疾患であり、現在でも年間で約10万人もが命を落としている。毒ヘビのゲノム情報を得ることで、高品質で包括的な毒素遺伝子の解析が可能になり、効果の高いヒト化組換え抗毒素の開発を促進すると期待される。我々は、強い毒を持ち医学的にも重要なインドコブラ(Naja naja)のde novoゲノムアセンブリを行い、ほぼ染色体レベルのゲノムを構築することができたことを報告する。我々のアセンブリは、scaffold N50が223.25 Mbで、ゲノムの95%を含む19個のscaffoldからなる。タンパク質をコードすると予測された2万3248個の遺伝子のうち、1万2346個は毒腺に発現して「venom-ome(毒液オーム)」を構成しており、これらには33の毒素ファミリーからなる139個の毒素遺伝子が含まれていた。139個の毒素遺伝子のうち、毒腺特異的な発現を示す19個が、「venom-ome特異的な毒素(VST)」として、おそらく最小限のコア毒エフェクタータンパク質セットをコードしていると考えられる。組換えVSTを発現させることによって再構成した合成毒液は、安全で効果的な合成抗毒素の迅速な開発に役立つだろう。さらに、我々の報告するゲノムは、ヘビ類の高品質参照ゲノムとして進化研究を支えるとともに、毒を出発点にした創薬を可能にするだろう。

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