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シス遺伝率:超希少なバリアントがヒト遺伝子発現の大きなシス遺伝率をもたらす

Nature Genetics 51, 9 doi: 10.1038/s41588-019-0487-7

ヒトの変異の大部分は1%未満のマイナー対立遺伝子頻度を持ち、多くが一度しか観察されない(つまり「シングルトン」である)。メンデル遺伝病は主として希少な対立遺伝子によって引き起こされるが、複雑形質の表現型への希少対立遺伝子の累積的な関与についてはほとんど解明されていない。本論文では、シングルトンを含む全ての対立遺伝子について、表現型多様性への関与を統合的に推定する手法を開発するとともに、厳密に検証したので報告する。我々の手法を、遺伝学的多様性と複雑疾患の中間に位置するレベルの転写調節に適用した。ヨーロッパ系の360人から得た全ゲノムDNAとリンパ芽球様細胞株のRNA塩基配列解読データを用いて、シングルトンが遺伝子全体のシス遺伝率に約25%関与すると慎重に見積もった(他の頻度の対立遺伝子の関与を小さくしている)。シングルトンの遺伝率の大部分(約76%)は、他の数千の試料に存在していない超希少なバリアントから得られている。我々は推定手法を開発し、得られた結果が、広く見られる、多くのヒト遺伝子の調節構造を形づくる純化選択と一致することを実証した。

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