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集団遺伝学:数千サンプルに基づくゲノム規模の系譜関係の推定法

Nature Genetics 51, 9 doi: 10.1038/s41588-019-0484-x

数千個体についてゲノム規模の系譜関係の情報が得られれば、ヒトをはじめとする生物種の進化解析の多くが容易になるはずだが、現実には計算量の問題から、これまでは実施できなかった。しかし、我々が開発したRelate法は、1万を超える塩基配列を対象として、系統樹の枝長、変異の発生年代、過去における集団サイズの推移を同時に推定することが可能で、データエラーに対しても堅牢である。1000ゲノムプロジェクトのハプロタイプにRelate法を適用することにより、26のヒト集団に関する系統関係を統合的に明らかにした。系統関係の高度な分岐がどの集団にも見られたが、アフリカの集団で特に顕著であった。アフリカ以外の集団では、分岐はおもに古代におけるネアンデルタール人およびデニソワ人の集団からの遺伝子移入に関係していたが、アフリカの集団では、アフリカ大陸で起きた未知の事象を反映していた。これまでの手法と比較して、我々のアプローチは、より検出力の高い自然選択の推論を可能にする。本研究では強い正の選択を受けてきた複数の領域を特定するとともに、髪色、ボディーマス指数、血圧のような多対立遺伝子形質が、集団間で異なる方向性選択を受けている強い証拠を示す。

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