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遺伝性膵がん:RABL3の変異はKRASのプレニル化を変化させ、遺伝性膵がんと関連する

Nature Genetics 51, 9 doi: 10.1038/s41588-019-0475-y

膵管腺がんは、治療選択肢が限られたアグレッシブながんである。およそ10%の症例で、家族性素因が認められるが、ほとんどの家系において原因遺伝子は分かっていない。我々は、複数の膵管腺がん患者を有する家系に対して全ゲノム塩基配列解読解析を行い、RABL3(RAS oncogene family-like 3)遺伝子のメンバーに生殖細胞系列での短縮型変異を特定した。rabl3変異をヘテロ接合で持つゼブラフィッシュは、がんを形成しやすくなっていた。トランスクリプトームと質量分析を用いた方法で、RABL3がRAS経路調節に関与することが示され、RAS GTPアーゼのプレニル化を調節するシャペロンであるRAP1GDS1(SmgGDS)との相互作用が明らかになった。実際に、短縮変異型RABL3タンパク質は、KRASのプレニル化を促進し、RASタンパク質の細胞増殖促進に必要とされた。また、発生異常の患者コホートにおける証拠から、生殖細胞系列のRABL3変異がRASopathy(Ras/MAPK)症候群に関与することが分かった。我々の研究は、がん家系における遺伝学的検査の標的としてRABL3変異を同定し、発生とがんにおけるRAS活性の調節異常に対する機構を明らかにした。

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